2017/11/11

【基礎】車の素材の種類や特性とは?ボデーの素材について

 
第二回ボデーの素材について

この記事を書いている人 - WRITER -
“自動車業界のすべてを誠実に伝える” BSニュースのサイト構成やライティングを担当している人。大学でプログラミングを専攻し念願のIT企業へ就職したが、紆余曲折を経て今は自動車業界の営業職に就いている。深夜のカップ麺の誘惑に負け続けているため、おなかが出てきているのが最近の悩み。

 BSニュースでは自動車の鈑金・塗装業界について、作業に必要な基礎知識をまとめています。

第2回目は『ボデーの素材』についてです。

 

自動車のボデーの素材には、非常に多くの素材が使用されているのをご存知でしょうか?それぞれの素材に合った修理方法を選択しなければ、鈑金修理を行うことは出来ません。

今回は、自動車の鈑金についてボデーに使われている素材の種類や特性など、基礎情報をお伝えしていきます。

 

メザイクドットコムのロゴ

『ホームページで集客したい』くるまやさんをWEBマーケティングで誠実に支援するサイト。  

mezaiku.com(メザイクドットコム)はこちら

 

1.鋼板の種類

黒色のアウディセダン

自動車には以下の5種類の鋼板が使用されています。

1.熱延鋼板と冷延鋼板
2.防錆鋼板
3.高張力鋼板
4.電縫鋼管
5.制振鋼板

 

1-1.熱延鋼板と冷延鋼板

鋼板の製造工程の違いにより、それぞれに分類されます。

■分類表
  製造工程 特徴
熱延鋼板 800℃以上の高温下で引き延ばす 加工しやすいが、美観は冷延鋼板に劣る
冷延鋼板 常温で圧力をかけ薄く引き延ばす 加工、溶接しやすく熱延鋼板より表面がなめらか

 

1-2.防錆鋼板

溶接メッキ鋼板とも呼ばれ、錆を防ぐための表面処理鋼板の一種です。

自動車の外板に使われる防錆鋼板には、合金化亜鉛メッキ鋼板が用いられます。

これは鉄と亜鉛の合金をメッキしたものであり、鉄と亜鉛の含有量の割合を変えたり、表面に近いほど鉄の含有量が多くなるように加工するなど、様々なタイプが存在しています。

 

修理時の注意点

塗膜をはがす際にサンダー等を使用すると、メッキ層も一緒にはがすことになり、防錆効果を失う恐れがあります。

再塗装の際には、防錆処理が必須であり、ウォッシュプライマーや表面処理剤の塗布を欠かさず行うことが大切です。

 

1-3.高張力鋼板

引っ張った時の強度が非常に高く、通常の鋼板よりも板厚を薄くしても強度が変わらないため、車両の軽量化に用いられています。さらに高強度な超高張力鋼板と呼ばれるものも存在します。

自動車への採用は外板パネルから始まり、内板骨格部分、リインホースメントなど車体全体に広がっており、軽自動車に至っては、全体の40%以上を占めるものも存在しています。

 

高張力鋼板の種類

強度を高める方法は、以下の3種類に分けられます。

■固溶強化型
■析出強化型
■組織強化型

 

それぞれの方法で得られる強度のレベルに違いがあり、固溶強化型が340~490MPa、析出強化型が490~980MPa、組織強化型が440~1470MPaとなります。

 

1-4.電縫鋼管

鋼を管の形状にしたもので、電気抵抗加熱による連続溶接を用いて加工します。

管の中に水圧をかけることで鋼管を膨らませ形を作ることができるため、複雑な形状に加工できることが特徴です。

高張力鋼管は、ドアのサイドインパクトビームやピラーのリインホースメントなどに使用されます。

 

1-5.制動鋼板

サンドイッチ鋼板とも呼ばれ、鋼板の間に樹脂を挟んだ構造になっています。

振動と騒音を低減できる鋼板として、ダッシュパネルなどに使用されています。

 

2.鋼板の特性

ルーフプレート

鋼板には以下の5つの特性があります。

1.弾性と塑性
2.引っ張り強度
3.加工硬化
4.パネルの加工
5.強度と剛性

 

2-1.弾性と塑性

鋼板は加える力の程度によって、元に戻る変形と戻らない変形が存在します。

元に戻る変形を弾性変形、元に戻らない変形を塑性変形と呼びます。

 

2-2.引っ張り強度

鋼板の強度を示す指標で、単位はMPaを用いることが一般的です。

鋼板を引っ張り試験機で両端から引くと、加えられた力に比例して伸びていきます。

この伸びが、ある1点を超えると大きくなり(弾性限界)、力を加え続けると破断してしまいます。破断する手前に、より少ない力でも伸びが増えるようになるタイミングがあり、必要な力が最大になった時が引っ張り強度となります。

 

2-3.加工硬化

鋼板の内部構造が変化し、変形したものが元に戻らなくなることで硬さが増す性質のことです。

外板パネルのプレスラインは、この方法で強度を増す働きをしています。

 

2-4.パネルの加工

自動車のパネルに採用されている加工方法は、部位によってそれぞれ違います。

また目的ごとに加工されている場合もあり、衝突時に安全性能を高めるために、わざとつぶれやすくする加工方法もあります。

主な加工方法は、以下の6種類が用いられます。

 

パネルの加工の種類

■フランジ
■チャンネル
■ボックス
■ボックス
■ビーティング
■ヘミング
■クラウン

 

2-5.強度と剛性

強度とは壊れにくさ、剛性とはしっかりしたさまを表しています。

強度はそれぞれの材料に対して、耐えられる力の大きさを客観的に計測することが出来ますが、剛性は加工品や車体構造に対して、大きい小さい、高い低いなど抽象的な表現を用いています。

 

3.アルミ合金/その他の金属材料

アルミニウム

自動車に使用されるアルミ合金の性質や種類、またその他の金属材料について、以下の順に解説します。

1.アルミニウムの性質
2.アルミ合金の種類
3.その他金属材料

 

3-1.アルミニウムの性質

鉄と同じ強度を確保しながら、鉄の半分程度の重さであり、表面が錆びることはあっても内部まで錆びない性質を持っています。

また、電気・熱を伝えやすく融点も低いため、加工性が良い性質も合わせ持ちます。

自動車の色々な部位に使用されていますが、近年では歩行者傷害軽減を目的として、ボンネットへの採用も見られるようになっています。

鉄と比べて精錬コストが高く、高級車やスポーティタイプの車に多く採用されています。

 

3-2.アルミ合金の種類

アルミ合金は、1000系(純アルミニウム)から8000系までの分類と、熱処理型合金と非熱処理型合金で分類することが出来ます。

熱処理型合金は冷間加工、非熱処理型合金は焼き入れ・焼きもどしで所定の強度を得ることが出来ます。

自動車のボデーには5000、6000系が使用されることが多いです。

 

3-3.その他金属材料

その他の金属材料として、以下の材料が挙げられます。

■銅
■鉛
■スズ
■亜鉛
■セラミックス
■白金
■レアアース
■レアメタル

 

レアアースやレアメタルは、ハイブリッドカーに多く採用されています。

しかし、レアアース・レアメタルは希少資源のため、トヨタ自動車や本田技研興業では、それらを再利用するリサイクル事業を行っていたり、レアアースを極力使用しないモーターの開発も行っているようです。

 

4.プラスチック

プラスチック製のスプーン

自動車に使用されるプラスチックの種類と特性・使用部位について、以下の順番で解説します。

1.種類と特性
2.使用部位

 

4-1.種類と特性

石油を原料に合成され、樹脂の別称としてプラスチックと呼ばれることもあります。

形を自由に成型でき、機能・性能も用途に合わせたものが製作可能です。

熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に分類されます。

 

4-2.使用部位

自動車に使用されるプラスチックの種類は熱可塑性樹脂が多く、バンパーやグリル、トリム、モールなど使用されています。

外板に使用されている車種もあり、ガラス繊維で強化したプラスチックを板状に成形した、シートモールディングコンパウンドなどが用いられています。

 

5.ガラス

ガラス製の建物

自動車のガラスには、以下の2種類が用いられています。

1.安全ガラス
2.強化ガラス

 

5-1.安全ガラス

自動車に使用されるガラスには、以下の条件を満たしている必要があります。

■割れにくいこと
■割れても人を傷つけないこと
■割れてもある程度の視界が確保できること

 

これらの条件を満たしているものが安全ガラスと呼ばれ、実際に使われているものは強化ガラスと合わせガラスの2種類が存在します。

 

強化ガラス

主にサイドウィンドやリヤウィンドに用いられています。

一般的なガラスを600℃で加熱し、急冷して内部に圧縮応力を残すことで強化しており、非常に割れにくく、割れた場合でも破片が丸みを帯びた小さなものになるため、人を傷つけることが少ないです。

 

合わせガラス

主にフロントガラスに用いられています。

2枚のガラスの間に薄くて丈夫な樹脂を挟んだガラスで、1987年から使用が義務付けられています。

割れても破片が飛び散らず、衝撃物が貫通しにくい特徴を持ち、耐衝撃性の高いガラスはHPR合わせガラスと呼ばれています。

 

5-2.特殊ガラス

ガラスには様々な機能を持たせていますが、代表的なものは以下の通りです。

■機能表

熱線吸収ガラス

熱線反射ガラス

コバルト、鉄などの金属を微量に含ませ、赤外線を吸収(反射)させる
熱線プリントガラス 熱処理前のガラスに電導性塗料をプリントし、強化処理時に焼き付ける
プライバシーガラス 着色ガラスで色を濃くし、光線の透過率を下げたもの
UVカット強化ガラス UV吸収剤を練り込み、紫外線の透過率を下げたもの
アンテナ入りガラス 中間膜に電波受信用アンテナ線を入れたもの
上辺ボカシガラス 合わせガラスの中間膜の上辺を着色したもの。上の方が濃く、下になるほど薄い

引用元:㈱プロトリオス、「THE鈑金パーフェクトマニュアル」

 

まとめ

1.自動車専用鋼板の種類
2.鋼板の特性
3.アルミ合金/その他の金属材料
4.プラスチック
5.ガラス

 

いかがでしたでしょうか??

今回は鈑金の基礎の部分についてお伝えしてきました。自動車のボデーには非常に多くの素材が使われているため、それぞれの部位にどんな素材が使用されているかをしっかりと把握した上で、鈑金を行う必要があります。

修理工場によっては、破損部位の素材の厚さや硬さを確認して、鈑金作業を行う設備や技術がないために部品の交換で済ませたというようなこともあるようです。

鈑金の正しい知識を身に付けることで、鈑金修理をするべきなのか、部品交換をするべきなのか、修理費用はどちらが安いのかということも把握できるようになるかもしれませんね!

 

それでは(^^)

 

メザイクドットコムのロゴ

『ホームページで集客したい』くるまやさんをWEBマーケティングで誠実に支援するサイト。  

mezaiku.com(メザイクドットコム)はこちら

この記事を書いている人 - WRITER -
“自動車業界のすべてを誠実に伝える” BSニュースのサイト構成やライティングを担当している人。大学でプログラミングを専攻し念願のIT企業へ就職したが、紆余曲折を経て今は自動車業界の営業職に就いている。深夜のカップ麺の誘惑に負け続けているため、おなかが出てきているのが最近の悩み。
 

Copyright© BSニュース , 2017 All Rights Reserved.