2017/11/11

【基礎】自動車塗装の目的や方法とは?塗装と塗料について

 
第1回塗装と塗料について

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“自動車業界のすべてを誠実に伝える” BSニュースのサイト構成やライティングを担当している人。大学でプログラミングを専攻し念願のIT企業へ就職したが、紆余曲折を経て今は自動車業界の営業職に就いている。深夜のカップ麺の誘惑に負け続けているため、おなかが出てきているのが最近の悩み。

BSニュースでは自動車の鈑金・塗装業界について、作業に必要な基礎知識をまとめています。

第1回目は『塗料と塗装』についてです。

 

塗装には意味があって、色を付けることで物に意味を持たせたり、色々な印象を持たせたりすることができます。自動車業界における塗装も、目的に応じて色を付けることによって、様々な効果を生み出していることをご存知でしょうか?

今回は、自動車の塗装について塗装の目的や塗料の成分など、基礎情報をお伝えしていきます。

 

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1.塗装の目的

ペイントされた女の子

一般的に塗装する目的は以下の3つとされています。

1.外見の向上
2.外見の識別
3.素材の保護

 

1-1.外観の向上

電車などはアルミボデーだけの素材そのものを生かした製品ですが、塗装をすることで見た目が良くなったり、太いカラーラインを入れることで意匠性が高まったりします。そのため自動車塗装では高意匠、高外観を達成する手段として用いられています。

高意匠、高外観を達成するポイントとしては、色と深みが挙げられます。ツヤによる高級感を演出するために繰り返し塗装を施すことや、逆にツヤを求めないマットカラーやカスタムペイントを施すなど、様々な手法が存在しています。

 

1-2.外観の識別

消防車は赤、救急車は白、パトカーは白と黒のように、塗装された色を見ただけで所属や機能が理解出来ることを目的としています。また企業などでは、PR手段としてロゴマークやゆるキャラなどのキャラクターが車体に描かれていることもあります。

近年ではコンピュータカッティングシステムの登場により、塗料を吹き付けて塗装するのではなく、マーキングフィルムを貼って塗装としたように見せる方法も多くなってきています。

 

1-3.素材の保護

車の素材には鉄や鋼などの金属が使われており、それらの素材が錆びたり傷ついてしまうことが多いことから、保護を目的として塗装が施されております。

特に鉄は酸素と結びつきやすく、短時間で錆びてしまい、強度が劣化することにも繋がります。

塗装によって酸性雨やアルカリ性雨、耐スリ傷性を高めたり、汚れにくさや撥水性、親水性を持たせるなど、特定の機能を向上させることで素材の保護性能を高めることが出来ます。

 

2.塗料の成分

絵の具

塗料は以下の4つの成分から構成されています。

1.樹脂
2.顔料
3.溶剤
4.添加剤

 

2-1.樹脂

樹脂は塗料の主成分であり、顔料が混ざった状態で乾燥することで塗膜になります。

樹脂には天然樹脂と合成樹脂の2種類が存在しますが、近年では石油化学の発達により、合成樹脂が使用されることが多いと言われています。

 

天然樹脂

樹液などの天然資源から得られる樹脂のことで、水に溶けない性質を持っています。

植物由来の樹脂では、ウルシオール(漆)やロジン(松脂)があり、動物由来では、シェラック(カイガラムシの分泌液)やゼラチン(コラーゲン)があります。

また、鉱物由来の天然樹脂も存在します。

 

合成樹脂

人工的に合成された樹脂のことを指し、各種高分子化合物とも呼ばれています。連結するための骨格となる元素は炭素(C)が中心であり、プラスチックが代表的な合成樹脂として挙げられます。

合成樹脂は熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂に分けられ、主に自動車のバンパーやグリルの部分に使用されています。

■合成樹脂の種類
ウレタン樹脂

ポリウレタンは弾性、耐磨耗性、耐油性、耐寒性に優れるが、酸やアルカリ性に弱い

断熱材や防音材としても使用する

ポリエステル樹脂

耐熱性、強度に優れる

ペットボトルや不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂もポリエステル系の樹脂に当たる

エポキシ樹脂 耐水性、耐薬品性、電気絶縁性に優れる

引用元:(株)プロトリオス、「THE塗装パーフェクトマニュアル」

 

2-2.顔料

顔料は色を付けることや、機能を加えることを目的としています。

主に機能と素材によって分類されます。

 

機能による分類

■着色顔料

塗料に色を与える機能を持ち、上塗り塗料に使用されます。

着色顔料の例として、メタリックカラーを生むアルミフレークやパールカラーを生むマイカなどがあります。

■防錆顔料

錆を防ぐ機能を持ち、表面処理剤などに使用されます。

防錆顔料の主流はリン酸塩系顔料であり、リン酸亜鉛、リン酸アルミなどがあります。

■体質顔料

体積を確保する機能を持ち、下地塗料のパテやプラサフに使用されます。

体質顔料の例としては、白顔料でもある炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウム、ガラスビーズなどがあります。肉持ちを確保し、研磨性能も良くなければなりません。

 

素材による分類

■分類表
  無機顔料 有機顔料
概要 岩石や金属を加工した、天然資源の鉱物をもとに作られている顔料

炭素を主とする人工的に作られた顔料(石油化学合成品)

特徴

色は少し濁り気味

粒子のサイズが大きいため隠ぺい力がある

りん片化して細かくした特殊な顔料もある

無機顔料に比べて色は鮮明

粒子は細かく隠ぺい力の弱いものが多い

具体例

チタン白(酸化チタン)

カーボンブラック(炭素)

黄鉛

酸化鉄(ベンガラ、赤)

黒鉛

アルミ粉末

マイカ(雲母)

ガラスビーズetc

フタロシアニンブルー

フタロシアニングリーン

キナクリドンレッド

シンカシャレッド

ファストイエロー

アントラキノンエロー

引用元:(株)プロトリオス、「THE塗装パーフェクトマニュアル」

 

特殊な着色顔料

■メタリック

メタリックカラーの元になる顔料で、アルミフレークと呼ばれる金属片を混ぜることでキラキラとした輝きを放つようになります。大きさの違いや形状の違い、コーティングなどの加工によって種類が増加しています。

アルミフレークの形状はぎざぎざなままのもの、薄く丸いもの、なめらかなものがあり、顔料で薄く色付けされた着色アルミや基板にアルミを蒸着させた蒸着アルミなど、バリエーションが広がっている。

■パールマイカ

マイカとは雲母の英語名であり、真珠色の光沢を得ることが出来ます。干渉、着色、銀色マイカなどメタリック同様に種類が多く、さらに近年では人口のマイカ顔料が登場し、そのほとんどが合成品となってきています。

カラーベースの上にマイカベースを塗装する3コートパールカラーで主に使用されています。

粒子の大きさも異なるものが用意され、キラキラ感も変化するようになっています。

 

2-3.溶剤

溶剤は樹脂を溶かし液体にすることで、塗装を容易にする特徴があります。

また、溶液を混ぜ合わせることで塗装するのに適切な粘度に調整するために希釈剤が用いられます。

 

溶剤の種類

■炭化水素系
■アルコール系
■エステル系
■ケトン系
■エーテル系
■水

 

有機溶剤は種類が非常に多いため、使用する樹脂に合わせて溶解力や蒸発速度を選択し、使い分ける必要があります。

蒸発速度は、低沸点溶剤(沸点100℃以下)、中沸点溶剤(同100~150℃)、高沸点溶剤(同150℃以上)の3つに分けることが出来ます。

 

希釈剤

異なる溶剤を組み合わせたものを希釈剤と呼び、シンナーやリデューサーとも言われます。

希釈剤は高温時用(夏季用)、標準(春秋用)、低温時用(冬季用)などが設定されていて、塗装条件の温度に合わせて、蒸発速度の異なる溶剤を組み合わせることで使い分けています。

 

2-4.添加剤

添加剤は塗料の性能を補助・安定させる働きがあり、名称や機能が各種存在することから、溶剤系・水系・塗料の種類に合わせて選ぶ必要があります。

また揺変剤(沈降防止剤、タレ防止剤)、分散剤(顔料分散剤、色分かれ・色浮き防止剤)、表面調整剤(レベリング剤、消泡・脱泡剤)という分類も存在します。

■添加剤の種類
沈降防止剤

機能:比重の重い着色顔料、アルミやマイカが沈殿し、樹脂や溶剤と分離するのを防ぐ

成分:脂肪酸アマイドなど

色別れ・

色浮き防止剤

機能:着色した塗料で色分かれ、色浮きを防ぐ

成分:変性シリコーンなど

レベリング剤

機能:塗装時に塗面が平滑にフローするようにする

成分:アクリルポリマーなど

消泡・脱泡剤

(ワキ防止剤)

機能:塗料中の空気が塗膜に残るのを防ぐ

成分:アクリルポリマーなど

引用元:(株)プロトリオス、「THE塗装パーフェクトマニュアル」

 

 

3.塗料の硬化方式

ドライヤーで顔が隠れる女の人

硬化方式は以下の7つとされています。

1.溶剤蒸発型
2.重合型
3.熱重合型
4.酸化重合型
5.湿気硬化型
6.光硬化型
7.樹脂融合型

 

3-1.溶剤蒸発型

最も単純な硬化方式であり、塗料やシンナー中の溶剤が蒸発することで硬化します。

乾燥性に優れている反面、速く乾いてしまうため表面のツヤが少ない状態になることもしばしばです。

 

3-2.重合型

塗料やシンナー中の溶剤の蒸発に加え、樹脂が効果剤の成分と化学反応することで硬化する方式です。

添加剤や反応剤と呼ばれることもあり、常温で完全に乾燥するには時間を必要とします。

そのため強制乾燥することで、時間短縮を図るなどの処置が施されます。

 

3-3.熱重合型

焼付型ともいい、溶剤が蒸発しつつ、高温により樹脂が反応して構造を変化させて乾燥・硬化する方式です。

適正温度は素材や塗料によって異なりますが、加熱しなければ塗膜になりにくいため、上塗り塗装は150℃前後で焼き付けます。

 

3-4.酸化重合型

塗料やシンナー中の溶剤の蒸発とともに、空気中の酸素を吸収することで分子が結びついて反応・硬化する方式です。

現在では自動車の塗装で使われることはほぼありません。

 

3-5.湿気硬化型

塗料やシンナー中の溶剤の蒸発とともに、空気中の水分を吸収することで反応・硬化する方式です。

ウレタン硬化剤のイソシアネートは、水分と結びつきやすい性質を持っています。

 

3-6.光硬化型

光の波長によって反応・硬化する方式です。

光が当たらなければ硬化することはないので、その間は自由に形状を変化させることができます。硬化時間は非常に短く、範囲によっては数秒で効果する場合もあります。

 

3-7.樹脂融合型

塗料やシンナー中の溶剤の蒸発とともに、分散しているポリマー樹脂粒子が接近して融着し手を結ぶことで硬化する方式です。

水性塗料で使われることが多く、揮発性の高い溶剤と比べると乾燥に時間が掛かります。

乾燥促進には熱と風が利用されます。

 

4.塗装の方法

カラースプレー

自動車塗装においては以下の2つの塗装方法が用いられています。

1.吹き付け塗装
2.電着塗装

 

4-1.吹き付け塗装

主にスプレーガンや新車静電塗装のベル型などの塗装器具を使うことで、塗料を均一に吹き付ける手法を指します。

なお、作業の方法は手作業とロボット塗装の2種類が存在します。

 

 エア・スプレー法

霧吹きと同じ原理で、圧縮空気によって塗料をミスト状態にして飛ばします。

スプレーガンは取り扱いが簡単で安価なことから、広く普及していますが、塗装面に到達しない塗装ミストが多く発生することから、塗着効率はあまり良くないと言われています。

 

エアレス・スプレー法

塗料自体に圧力をかけることで、ミスト状態にして吹き付ける手法です。

エア・スプレー法よりも塗着効率が良いのが利点ですが、複雑な形状では仕上がり性が劣るため、一般的には大型のシャシ、大型機械や建築物などの塗装で用いられることが多いです。

 

静電塗装法

新車の中塗りや上塗りで用いられる塗装方法です。

静電気の力で塗料をミスト化し、ボデーへ引きつけることから、塗料ミストのロスが少ないことが特徴として挙げられます。

 

4-2.電着塗装

自動車ボデーを、塗料の入った大きな槽にそのまま漬けることによって塗装する方法です。

一般的にはディッピング、ED塗装、浸漬塗り、どぶ漬けと呼ばれております。

お互いに引き合う力を利用(ボデー:マイナス、塗料:プラス)し塗着効率を高めることで隅々に塗料が行きわたるようにしています。

 

 

まとめ

1.塗装の目的
2.塗料の成分
3.塗料の硬化方式
4.塗装の方法

 

いかがでしたでしょうか??

今回は、塗装の基礎の部分についてお伝えしてきましたが、「塗装の目的やどんな方法で作業しているのか、なんとなくしか知らなかった。」という人もいらっしゃったのではないでしょうか?

『車の色ごとの事故率の違い』や『車の色でわかる性格診断』など、ちょっとお遊びとも思えるような統計が取られていたりもするようです。

塗装の基礎を知っていただくことで、自動車の塗装作業や修理見積りが違った目線から見ることができたり、自動車業界以外のところでも活用していただけると幸いです。

 

それでは(^^)

 

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