2017/11/11

【基礎】種類や使い方とは?鈑金作業工程と設備機器について

 
鈑金作業工程と設備機器について

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“自動車業界のすべてを誠実に伝える” BSニュースのサイト構成やライティングを担当している人。大学でプログラミングを専攻し念願のIT企業へ就職したが、紆余曲折を経て今は自動車業界の営業職に就いている。深夜のカップ麺の誘惑に負け続けているため、おなかが出てきているのが最近の悩み。

BSニュースでは自動車の鈑金・塗装業界について、作業に必要な基礎知識をまとめています。

第6回は『鈑金作業工程と設備機器』についてです。

 

自動車を修理するための設備機器には、1台で何百万円もするものがいくつも存在しています。

このような設備は、メンテナンスが必須なことも多く、鈑金塗装作業を行う上で必ず必要になります。

今回は設備の種類や作業中の使用方法など、鈑金作業工程と設備機器についての基礎情報をお伝えしていきます。

 

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1.鈑金作業用設備について

作業用設備

鈑金塗装を行うには、様々な種類の設備が必要になります。

入庫から鈑金作業、納車するまでに使用する設備の種類と、安全に使用するためのメンテナンスの方法の確認をしっかりと確認しておくことが重要です。

 

1-1.設備の種類

設備には、よく使用されるものとして以下の6種類があります。

■車両運搬・牽引車
■エアコンプレッサー
■リフト
■ガレージジャッキ
■集塵装置
■乾燥機

 

車両運搬・牽引車

■キャリアカー

車積載車、車載車とも呼ばれ、小さなもので車1台、大きいもので車5~6台を同時に運ぶことができます。

修理工場では1台積みを所有していることが多いです。

荷台の後ろがスロープ式のもの、傾けてブリッジを出した状態で自走して乗り込むもの、装備されているウインチで引っ張り上げるものなどが存在します。

■レッカー車

荷台のクレーンで損傷側を持ち上げ、その状態で引っ張って運ぶことができます。

故障車をぶら下げて運ぶため、長距離の運搬にはあまり向いていません。

4WDや前輪駆動車のリヤ側が損傷している場合は、フロント側を台車に乗せることで、4輪とも持ち上げて運ぶことも可能です。

 

エアコンプレッサー

工場内の多くの設備機器は、空気を利用して作動するものが多くあります。それらの設備機器を動かすために、電動モーターで空気を圧縮しタンクに貯めておく装置であり、車体修理には必ず必要な設備になります。

圧縮方法は各種ありますが、横長のエアタンクの上にシリンダーとモーターを載せたレシプロ式から、スクリュー式のパケージ型に変わってきています。

 

リフト

車全体を持ち上げ、車の下に入って作業を行うときに使用します。

車の下に入り作業するため、万が一の事態にならないように多くの安全装置が備わっており、メンテナンスなどの管理が欠かせない機器です。

車体修理工場では、ボデー修正機と合わせて使用されることが多く、電動モーターやエア駆動の油圧ポンプ式の1柱、2柱、4柱リフトが存在しており、柱の数が多くなるほど作業がしやくすなると言われています。

 

ガレージジャッキ

手動かエア駆動で車体の一部を持ち上げ、作業するための機器です。

車を持ち上げて移動したり、床式修正機の固定作業を補助したりする時に使用し、修理工場では非常に重宝されるもののようです。

 

集塵装置

パテの研磨作業などで発生する粉塵を集める装置です。大きな定置式のものから業務用の移動させる掃除機タイプのものまで存在します。

■集塵装置の種類
  • カプセルルーム
  • 床ビット式集塵装置
  • 集中配管式集塵装置
  • 小型集塵機・業務用クリーナー

 

乾燥機

パテや塗料の乾燥を早めるために使用する機器です。

塗料の多くは、加熱することで硬化が早まる傾向があります。

可搬式、天吊り式、ハンディータイプが主流で、各種赤外線乾燥機とスポットランプが多い傾向にあります。

 

1-2.機器メンテナンス

機器を安心・安全に使用するには、定期的なメンテナンスを欠かすことはできません。

以下の例のように、使用する設備機器のメンテナンス方法は、必ず確認しておいて下さい。

 

エアコンプレッサー

オイル量とオイルの汚れ、ベルトの張り具合、フィルターの汚れ、エア配管に溜まったドレンの排出などは日常的に点検する必要があります。

 

リフト

チェーンの定期的な注油と弛みや亀裂の目視点検、内部油圧ユニットの油量とオイル漏れの確認、安全装置の動作確認などの定期点検を行う必要があります。

 

乾燥機

反射板に付着した塗装ミストやゴミ、ホコリなどの汚れを定期的に落とすことで、発火の危険性を低くし、乾燥能力を100%発揮できるようにしておく必要があります。

 

2.鈑金塗装作業工程

ボデーの溶接鈑金

作業工程には、大きく以下の2つに分けることができます。

1.鈑金
2.塗装

 

2-1.鈑金

損傷車両の修理のことで、部品の脱着や骨格の修正、パネルの交換、損傷箇所の修理復元とこれらに付随する作業のことをいいます。

 

2-2.塗装

自動車のボデーに色を塗ることで、素材の保護、外観の向上、外観の識別のために、下塗りから上塗りまでを行うことをいいます。

 

2-3.鈑金と塗装の分担

鈑金と塗装の作業内容の境目は、一般的にはパテの研磨と言われています。

しかし、修理工場の経営方針によって鈑金技術者と塗装技術者の役割分担が決められていたり、1人で作業をしている修理工場もあるため、明確に鈑金と塗装の分担が決められているわけではありません。

また軽鈑金・軽補修では、一般的には作業を分担することはありません。

 

3.鈑金塗装作業手順

鈑金修理

作業は、以下の順番で進めていきます。

1.損傷の分析
2.作業準備
3.部品の取り外し
4.骨格修正
5.溶接交換
6.外板鈑金
7.部品取り付け
8.下地処理
9.上塗り
10.完成検査

 

3-1.損傷の分析

損傷の分析は、以下の順番で確認していきます。

■見積書と事故車のチェック
■骨格部位の損傷確認
■外板の損傷確認

 

見積書と事故車のチェック

鈑金作業者は事故車を確認し、損傷をチェックした後に自分で見積りを作成するか、フロントまたは保険会社が作成した見積書と事故車を見比べ、見積書に記載がないものに関しては、カーオーナーが修理を希望しているか否かの確認を行います。

あとでトラブルにならないように、中古パーツの使用は許可されているのかも確認しておく必要があります。

 

骨格部位の損傷確認

骨格部位に歪みがあると、車体全体が歪んでしまいます。

損傷程度を知るには、リフトアップするか部品を外して確認をしなければなりません。また、修理していく過程で損傷を発見する場合もあります。

各メーカーの衝突安全ボデーによって、外板の損傷は激しいが、内板骨格にはほとんど損傷がなかったり、外板の損傷は少ないが、内板骨格がかなり損傷している場合もあるため注意が必要です。

衝撃吸収構造の採用が広まっており、損傷の現れやすい箇所を設定しておくことで、その箇所の点検を行えば衝撃がどこまで波及しているかを推測することもできます。

 

外板の損傷確認

外板の損傷は、部品交換か鈑金かを、カーオーナーの希望に合わせて行います。

鈑金をする場合は、凹みや曲がり、擦り傷等を目視と手のひらの感触により、細かく確認をしていきます。

手のひらの感触で確認するときは、利き手とは反対の手に軍手をはめて調べることが一般的です。

 

3-2.作業準備

作業準備は、以下の順番で進めていきます。

■作業手順の基本
■交換か鈑金かを確認
■ボデー修正装置の選択
■車体情報の収集・確認

 

作業手順の基本

一般的には、アンダーボデーからアッパーボデーの順に修正していくのが良いとされています。

また、前後方向からキャビンまで損傷していた場合、キャビンからフロントまたはリヤへの正確な寸法を出していくのが一般的な考え方です。

 

交換か鈑金かを確認

交換か鈑金かで作業内容や手順、金額が変わります。

カーオーナーの希望に合わせて選択すれば良いですが、経営上は金額、技術、経営の3要素で考える必要があります。

修理工場ごとに違いがあると思いますので、はっきりとしたことは言えませんが、経営方針が違うため、修理内容についても違いが出てきているようです。

 

ボデー修正装置の選択

損傷範囲や損傷部品の交換か修理が決定すれば、その情報を基にボデー修正装置を選択していきます。

簡易タイプや埋め込み式、固定式が存在し、多種保有している場合は損傷箇所や大きさに応じて使い分けることが可能です。

 

車体情報の収集・確認

各メーカーから発行されている対象車種のボデー修理書やサービスマニュアル、ボデー寸法図などを用意し、作業箇所の修理方法や注意点などを確認します。

 

3-3.部品の取り外し

損傷部品や損傷箇所周辺の脱着が必要な部品、作業箇所に関わる内装部品などを、ハンドツールや動力ツールを使用して取り外します。

この工程では骨格修正と同時進行の場合が多いです。

 

3-4.骨格修正

ボデーアライニングや粗出し作業とも呼ばれ、一般的には固定・計測・引きの3つの機能を果たすボデー修正機を使用して修理します。

引き作業では、場合によっては押し作業やハンマリング作業を並行して行い、復元していく場合もあります。この時、骨格部分に大きな損傷が見られた場合には切開鈑金を行い、修復後はミグ溶接機で切開した部分を塞いでいきます。

骨格修正の作業工程は以下の通りです。

  1. 車体固定
  2. 計測
  3. 補助固定
  4. 引き・押し
  5. 切開鈑金

 

3-5.溶接交換

溶接作業では、スポット溶接機とミグ溶接機を使用し、パネルを止めていきます。

パネルを溶接していく際には、周辺のパネルとのたてつけなどを慎重に確認しながら、溶接を行います。

溶接交換の作業工程は以下の通りです。

  1. 取り外し・切断
  2. 新品粗切り・加工
  3. 塗膜はく離・防錆
  4. 仮組み
  5. 溶接(スポット・ミグ)
  6. 後処理
  7. 車体固定解除

 

3-6.外板鈑金

内板・外板の凹凸で修理できるものは板金修理を行います。

損傷程度やヘコミ、曲がり、擦り傷などで、鈑金の方法が変わってきます。

外板鈑金の方法は以下の通りです。

  • 打ち出し鈑金
  • 引き出し鈑金 
  • もみ出し鈑金
  • 吸い出し鈑金
  • 絞り・仕上げ

 

3-7.部品取り付け

取り外していた部品や交換する新品部品を取り付け、外装を復元します。

部品の取り外し、取り付けの手順などは、メーカーのサービスマニュアルに収録されています。

 

3-8.下地処理

下地処理は、鈑金と塗装の中間に位置する作業工程です。

下地処理を行うことで防錆力や途料の付着性を向上することができます。

下地処理の作業工程は以下の通りです。

  1. 塗膜はく離
  2. フェザーエッジング
  3. 金属素地面処理
  4. 鈑金パテ
  5. パテ研磨
  6. ポリパテ
  7. ガイドコート
  8. 面出し研磨
  9. パテ周囲足付け
  10. 拾いパテ
  11. 研磨
  12. マスキング
  13. プラサフ
  14. ガイドコート
  15. プラサフ研磨
  16. 拾いパテ
  17. 足付け

 

3-9.上塗り

鈑金を行った箇所に塗料で着色していきます。

塗料を調色し、現車の色と合わせる必要があるため、新車の塗装と比べて手間の掛かる作業です。

上塗りの作業工程は以下の通りです。

  1. マスキング
  2. 塗色コード・カラーコード確認
  3. 上塗り調合・調色
  4. テストピース塗装・乾燥
  5. 比色
  6. 微調色
  7. テストピース塗装・乾燥
  8. 比色
  9. 塗装準備・塗面点検
  10. 上塗り塗装
  11. 強制乾燥
  12. ポリッシュ
  13. 最終仕上げ

 

3-10.完成検査

すべての工程が終了すると、車体全部の最終点検を行い、仕上がりを確認します。

すべてにおいて問題がなければ、洗車して、納車の準備を整えて鈑金塗装作業が終了になります。

完成検査の作業工程は以下の通りです。

  1. たてつけ
  2. 塗り残しなどの各種点検項目
  3. ホイールアライメント検査・調整
  4. 電子機器作動検査・調整
  5. 走行検査
  6. 水漏れ検査
  7. 洗車・清掃
  8. 納車・引き渡し

 

まとめ

1.鈑金作業用設備について
2.鈑金塗装作業工程
3.鈑金塗装作業手順

 

いかがでしたでしょうか??

今回は鈑金作業工程と設備機器についてお伝えしてきた中で、車を修理するには非常に多くの設備と手間が掛かることを再認識することができました。

修理する車は一台だけとは限りませんし、これだけの作業手順を踏んでいるとなると、修理に掛かる時間は膨大なものになるはずです。

納期という決められた時間の中で、車を完璧に直してくれる修理工場の方々は、まさに職人と呼ぶにふさわしいのではないでしょうか?

 

それでは(^^)

 

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